約 2,388,588 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/38713.html
《黄昏に鎮む弾丸(レクイエム・フォー・トゥルース) エイプリル・フール》 VR 闇文明 (8) クリーチャー:アウトレイジMAX 4100+ ■このクリーチャーが場に出たとき、相手の手札を見ずに1枚選び、捨てさせる。それが闇のカードであれば、もう一度相手の手札を一枚選んで捨てさせる。 ■相手と自分の、手札の枚数の差一枚につき、このクリーチャーのパワーを+1000する。 ■このクリーチャーがアタックしてブロックされなければ、自分の場にいる、まだアタックしていない闇のクリーチャーの数だけ、相手の手札を見ずに選び、捨てさせてもよい。この効果を使うとき、自分の残っている闇のクリーチャーは、次の自分のターンの始めまでアタックできない。 ■相手の手札が一枚もなければ、このクリーチャーはアタックできない。 作者:citrus 4/1ということで、DMオリカwikiの定番、もう何番煎じになるか分からないエイプリルちゃんベースのオリカです。 イメージはハンデスお化け。墓地退化にも使えそうなスペックになりました。パワーの由来は…? 皆様の忌憚なきご意見をお待ちしております。 評価 選択肢 投票 ぶっ壊れ (0) 良カード (0) 普通 (0) 微妙 (0) わからない (0) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/99.html
独立戦争編Ⅱにおけるジャニアリー 言わずと知れた十二姉妹隊の前線における主力。 母を継いで統率者となったエイプリルの後釜を狙ったものの、 エイプリルがジュライを据えた為、反感を抱いている。 クーロン戦(前作)から一年が経ったものの、 精神的な成長は余り見られない。 今作で描かれる戦闘以前に行われた戦闘で、 事前情報と実際の違いから、多くの損失を出し、 以来フェブラリーを頑なに嫌っている。 独立戦争編Ⅱにおける戦闘スタイル 前作、並びに原作とほぼ変わらず、 P90の二挺持ちを基本としている。 但し、中~遠距離戦闘に備え、セプのM14を持つこともある。
https://w.atwiki.jp/soysouso800/pages/406.html
エイプリルフール タートルズの友達であり、元科学者で骨董品店を経営している赤毛の美女、エイプリル・オニールがアホみたいにはっちゃける日。 テンションが上がりすぎて周りの人に引かれる。
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/98.html
独立戦争編Ⅱ 黄昏計画 粗筋 クーロン繁華街での激戦から約一年。 十二姉妹隊に、セプの生存の可能性ありとの情報が入る。 エイプリルは即座に救出作戦の実行を決断。 セプの人工脳があると考えられる星、ロマノフに向かう。 しかし、死んだ筈のニグリティアらペトルッツィ三姉妹や、 半世紀前に活躍した元ギルド女幹部の妄執的欲望、 ロマノフ・ギルドの新型アンドロイド開発計画、 統合政府のギルド撲滅政策が奇妙に絡み、事態は泥沼化していく……。 十二姉妹 ・ジャニアリー ・フェブラリー ・マーチ ・エイプリル ・メイ ・ジューン ・ジュライ ・オーガスト ・セプテンバー ・オクト、ノヴェ、ディッセ 姉妹隊兵士(人間) ・ハンス ・ヴィクトール ・シグリッド ・ヴィンス ・ゴッドボルト ・ミシェル・シュザン 姉妹隊兵士(ANS=年末型) ・ステア・ヒート ・キャサリン“キャス”カークランド ・ユージーン ・クッカ・アルミラ ・ルーシー“K”キンクス ペトルッツィ三姉妹 ・ニグリティア ・ノネット ・アルヴィス ・開発主任 ギルド ・ルスラン“レイチェナント”リチェンコ ・セルジャント ・ライマー ・七曜姉妹 オールシーズンズ ・カーモス ・スプリング ・サマー ・オータム ・ウィンタ 統合政府 ・開発主任(統合政府) ・パトリオット ・大尉 新出用語 ANS オールシーズンズ ロマノフ 統合政府軍特殊作戦群 - -
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/84.html
一体誰のせいでそうなったのかといえばキリがないが、 何もかにもを発生させた原因を追究するならば、それはエイプリルだ。 だが彼女が悪い訳ではないのだ──彼女の決定の結果が現状だったとしても、 だからと言ってエイプリルを責め立てることは出来ない。少なくとも、私には出来なかった。 この私、いずれ彼女を打倒し十二姉妹のリーダーの座につく女、ジャニアリーには。 何故かと言えばこれは実に簡単で、明白だ。私は彼女の間違いを糾弾出来る立場にあったが、 訳あって糾弾など出来る余裕がなかった。とても、声を上げられる状態ではなかった。私たちは。 ここで三つ目の『何故』だ。これも分かり易い。けれどその前に、時間を少し前に戻す。 とはいえ、全てを一々とはっきり言っていては面倒なので要点だけだ。それでもちょっと多い。 一、三日前、エイプリルは我らが母マダム・マルチアーノとその他の姉妹たちと会議し、五日間の休暇をどう使うか決めた。 二、最終的に決定権を委ねられたエイプリルは、季節などの要因から『温泉』との採決を下した。 三、親友セプはその日の内に温泉と旅館を決定し、次の日に旅館に向かい、セッティングしておくことを命じられた。 四、当日の移動手段であるバスの運転手はメイ。これは、本人の強い希望による。運転技術はありそうなので我々は信頼した。 止めておくべきだったのだ。運転手の性格、それを考えたならば。 「あ、赤信号赤信号!」 オーガストが常識を振り翳す。この場において、無力の象徴の代名詞だ。 古人は言った、無理が通れば道理引っ込むと。今が正にそれだ。 「危ねぇなあんたッ!」 窓ガラス越しに罵るメイ。相手は左折車輌。 因みに私のデータが余程古いのでなければ、今の車輌は非常に良識的な行動だった。 つまりメイの方が罵られて然るべきなのだ。けど言えるかしら、そんなこと? 私は左を見た。バスの右側にある二人席に一人で座っていた私が左を向くと、ジューン、ジュライが見える。 ジューンの顔が青かった。ジュライさえも危なそうな顔だった。私は座席の網ポケットから、ビニール袋を取り出した。 「あ、道間違えた」 そんな呟きと同時に掛かるG。左折。車体に押し付けられる私。痛い。気分悪い。 外を見るのが怖くて、随分前に窓のカーテンを引いたので外界の様子は分からないが、 逆にそれが恐怖心を煽った。しかし今更外を見る気には到底なれない。 どん、と衝撃。やったか、と冷たいものが胸を刺す。 恐る恐る座席から顔を覗かせた……良かった、無機物だ! 安心するところが違うかもしれないが、当たったのはただの標識だった。人ではない。 でも、良心のある一般人が警察を呼ぶにはそれで十分だった。それまで呼ばれなかったのが驚きだ。 数分としない内に、聞き慣れたあのサイレンが聞こえてきた。 舌打ちをするメイ。まさか、とは思わない。 やっぱりか、と思うのだ。 Gは私だけに優しくないのではない。誰にも等しく掛かる。エイプリルにも、マーチにも、あの三つ子にも。 「ちんたら走ってるのって、好きじゃないんだよなー」 ああ神様。私はある種の人間には古臭いと言われる概念を持ち出して、それに祈りを捧げた。 これは私の財布から五百宇宙ドル賭けてもいいが、この時このバスに無神論者はそう居なかったろう。塹壕の中と同様に。 「いや、お疲れさん」 私の親友、運転手は、カーチェイスを心底楽しんだ様子で私の肩を叩いて降りた。 どうしようもなく絶望的に回路がどうにかしてると思う。帰ったらニルソン様に診て貰いましょう、メイ。 「お、お姉様」 隣のオーガストが真っ青な顔で私に助けを求めてきた。立ち上がれないようだ。 真っ青、真っ青か。誰も彼も真っ青だ。メイくらいだろう、そうではないのは。 私も立ち上がろうとしたが、ふらふらと定まらない。それでも意地で確りと立つと、私はオーガストの手を取った。 一歩一歩ゆっくりと進み、バスを降りる。バスの車体に縋って立つと、少しは楽だった。 「エイプリル!」 目的地、旅館から出てくるセプ。ああ、天使に見えるわよ、あなた。 私は信頼出来る彼女に可愛い妹を託すと、意識を手中から放り投げた。 次に目を覚ました時にマシになっていたのは、言うまでもなく時間の経過があったからである。 額に冷たいもの。氷か。私は座布団の枕から頭を上げた。時刻を確認。四時間と半分経過。 まず目を合わせることになった相手はジャニアリーだった。 「あら、起きたんですの?」 彼女は旅館の部屋に置かれている饅頭を摘まんでいたところだった。隣にはジューンが同じようにしている。 ただジューンにはお茶があったし、饅頭だけではなくその他のお菓子もあった。 「ええ、何とか。他の皆はどうしたのかしら」 無言で周囲を指し示す。なるほど、私は起きたばかりで温まっていないと考えるべきだ。 周りには皆居た。ジャニアリーとジューンは当然のこととして、 フェブは隣の部屋にもう一つある机に向かっているし、マーチはその隣で携帯用ゲーム機。家と変わらないわね。 メイは、あの奇跡的で暴力的なドライブを作り出した張本人はというと、寝ていた。疲れたのか、暇だったのか。 ジュライを探す。すぐ見つかった。先に聞いていた話では部屋は最上階の最もいい部屋だということだったが、 その最上階の部屋で最も眺めのいい場所に居た。窓際の、テーブルと椅子が置いてある場所だ。 ベランダはこの部屋にはないので、外を眺めながら飲酒し、読書し、休養出来る。 オーガスト。愛しい妹。可愛そうな彼女は私の隣で眠っていた。様子からしてもうそろそろ起きる。 そして残りの四人は、見なくても何となく予想はついた。大方三つ子が何かして、セプが後始末に奔走して、といったところだろう。 遠くから少々激しい物音と怒声が聞こえて、私はその予想を確信と書き換えた。 「ねえねえ、エイプリルお姉様」 その時、オーガストに服を引っ張られた。見ると、既に覚醒している。 「一緒にお風呂入ろうよ」 一瞬の思考。寝起きの倦怠感をなくすにはいいかもしれない。私は頷いた。 着替えの浴衣とタオルを持ち、出ようとすると、後ろからの声が掛かる。 「風呂に行くのかい?」 「来ます?」 声の主、メイは肯定で返し、用意を手早く済ませて出て来た。 その背後に部屋に居た残り全員が居る。 「皆来るってさ」 オーガストが不満そうな顔をした。 この旅館では温泉、それも露天風呂が楽しめる。デトックスだか何だか知らないが、温泉には違いない。 ところで、古今東西混浴という二文字の存在が許されておらず、 入浴者が大人と呼んで差し支えない年齢ならば、温泉とは男女別々に入るものだった。 この温泉も決してはみだすことはない。男は女湯に入るべからず。逆は歓迎だ、幾つかの条件さえ満たしていれば。 が、今この温泉の男湯に入っている男を知るものならば、決して彼がそれを喜ばぬとも知っているだろう。 もしもそう思わないのなら、彼を知らないというだけのことなのだ。 彼に対する説明をすると、彼は軍人で、名前だけで判断するならポーランド系で、階級は大佐で、 ベレー帽を肌身離さず着用し、また、重度のロリコンだった。 彼が十二姉妹と同じ旅館に同じタイミングで宿泊し同じタイミングで風呂に入っていたのは、 所謂恐るべき偶然の一致という奴に過ぎず、故に運命の悪戯と言えるだろう。 十二姉妹の声を聞き全てを悟った彼は瞬時に決断し、コンマ一秒たりとも余計に待ちはしなかった。 数多の戦場で戦って来た技術を用いて足音を消し、女湯と男湯を遮る竹製の絶対防衛線を攀じ登ったのである。 彼、リシャルド大佐はその時、神を信じなかった。己の技量を信じ、完遂することの出来る男だと自らを評した。 そして、確かにそうだった。彼は見たのである、彼の望んだその者を。あどけない少女の裸体を、後姿ながら。 だから彼は落ち着きを失い、それが彼の敗北を呼び寄せた。 竹に引っ掛けた首。その少し前、顎の部分に、冷たい鉄が押し付けられる。 見れば銀髪が下にあった。手にはショットガンを握って、引金をかちかちと鳴らせている。 「我らが姉妹に祝福を。我らが敵には死の鉄槌を。十二姉妹の名の下に!」 「そこを退けい年増ァーッ!」 彼が最後まで言うことはなかった。発砲音と共に、後ろに仰け反り、彼は墜落して行った。 「何かありましたの、メイ?」 ジャニアリーがそう聞いた。彼女は首を振って、たなびく硝煙を吹き消した後、銃を置いた。 「錆びますわよ」 訂正、慌てて風呂を飛び出していった。 入れ替わりにセプがやって来る。両手にはオクトとノヴェを持ち、背中にディッセを背負い込んでいた。 「「「飛び込めー!」」」 制止の声を聞かず、三人は走り出す。しかして、順当で至当な結果、三人は湯船に向かって転ぶことになった。水柱三つが発生する。 「何やってるんだか」 体を洗っていたオーガストが笑い、近づいていく。 途端、六つの手に引き摺り込まれて自らも湯船に叩き落された。 目をぱちくりとさせながら、首を出すオーガスト。 年末三姉妹の大笑いが眼に映った時、彼女は名誉の為に一戦交えることを決めた。 飛ぶ桶が三つ。風のせいではないので別に誰か儲かったりする訳じゃあない。命中音も三つ。笑い声が止む。 そうして、代わりに桶が風を切って飛ぶ音が響くようになった。 「こら、やめ」 クリーンヒットして、セプはぶっ倒れる。いつものパターンだ。兎角薄幸。 ジャニアリーが救護に現れたが、これにもクリーンヒットした。ただ、彼女はセプではなかったので、気絶までは行かなかった。 「あ、な、た、た、ちぃーッ!」 暇だったので眺めていたメイのエイプリルに対する報告によれば、 二十数分間続いた桶の応酬はオーガストと年末の同盟軍によってすんでのところで撃退されたそうだとか。 風呂を全員が上がる頃には食事の時間となっていたので、 彼女たちは上がるといそいそと用意をして、食事用の部屋へと向かい、座布団の上に座った。 間もなく、料理が運ばれてくる。コップが配られ、品のいい匂いと味のする酒が九名分、それに子供用にジュースが四名分回る。 年末は勝手にそれをセプの酒と換えようとしたけれど、敢えなく見つかってしまった。 全ての料理が揃い、乾杯の音頭をお母様にお願いしますわ、とエイプリルが言って、マダムがそれを受ける。 彼女は咳払いを一つして姉妹たちを見回すと、労いの言葉を掛けて、乾杯、と短く強く言った。 追随する乾杯、の声。ガラスコップがぶつかる音。彼女たちは食事を始めた。 しかしながら旅館の出した食事は慎ましやかなもので、食べ終えた後も、彼女たちは微妙な空腹感を感じていた。 「物足りませんわー」 フェブラリーが原稿用紙を片付けながら言った。 にやり、とあの笑みを見せて、懐を叩くマーチ。怪訝な顔をする相手に、彼女は懐の中のものを見せる。 「そんなこともあろうかと」 中から取り出したのは酒であった。セプが呆れたような笑い方をしながら、部屋の隅に置いてあった袋を持って来た。 「つまみと色んなお酒を買って来ておいたわ」 「流石、セプは気が利くねぇ」 「……メイ、何だか親父臭いですわ」 そこからの流れは言う必要性を感じない。宴会は開始された。 食事の時のようにコップが回され、飲み物が受け渡される。 「芋焼酎頂戴」 オーガストが言ったことにセプは大人の態度で答えた。 「子供は駄目。はい、コーラ」 渋々と言った顔で受け入れる。脇で聞いていたマーチは何故芋焼酎をと思ったが、 ウィスキーの入ったグラスを渡されたのでどうでも良くなった。 「日本酒はあるかしら」 ジュライがスルメを弄びながら言うと、ジューンが探して来て手渡す。 「ああ、そういえばお風呂に入る前、旅館のゲームセンターで取って来たお菓子があるんですのよ」 ジャニアリーがそう言って、セプのつまみの袋と同じくらい大きい袋を持ってきた。 三つ子がどんなゲームで取ったのかと訊いたのに、射的だと答える。 「「「え、弾が当たったの?」」」 「撃ちますわよ」 割と本気の顔だったので、三人は黙ることにした。 代わりに、コーラを飲んでいるオーガストのところに行き、減ってしまった液体にさっと酒を混ぜた。 知らず、ぐいと飲んでしまう少女。どうなるかは火を見るより明らかだった。 「お、ね、え、さ、ま~」 バスから降りた時のエイプリルのようにふらふらと立って近づいていき、背中を見せていた姉に抱きついた。 意味も無く胸に手を伸ばし、揉みしだいてみたりする。 「ひゃんっ! だ、誰ですの、オーガストにお酒を飲ませたのは!」 年末がきらきらとした目で見ている。 「言わずとも悟りましひゃぁんっ!」 「お姉様の胸気持ちいいー」 そもそも掴みどころのないジャニアリーの、血涙と怨嗟の眼差しを受けながらも、この宴は暫く続きそうだった。 「すー……すー……」 彼女たちはすっかり眠ってしまったようだ。 私は一人静かになったこの部屋で、残った酒を飲んでいる。 娘たちの寝顔を見ながらの酒ほど美味しいものはないと、最近知った。 しかし寝顔を見られる機会はそうない。大半は恥ずかしがるし、私が見せてくれというのも変だろう。 もっと無防備になってくれればいいのに。母親としてそう思った。 空のコップを置いて、次の酒へ移る。中途半端に残ってしまったものは飲み尽くさなければ勿体ない。 「う、ん、んん」 各々が各々の何かに抱きついたりして眠っているのを見て、ふと私は気がついた。 布団に寝かさねばならない。 私は飲み掛けの酒を置くと、布団を人数分用意し始めた。 十三人分の布団を敷くのは意外と重労働だったが、その後には娘たちを一人一人運ばねばならない。 まず、一番軽いオクト、ノヴェ、ディッセから移動を開始した。 起こさないようにそっと抱き上げて、最初にオクトを運ぶ。 次にノヴェを。その次にディッセを。三人は手早く片付いた。 四人目はオーガストにした。膝の裏に左手を通し、右手で首と肩を保持する。 間違っても娘たちの体を踏まないように注意しながら、布団に運び、下ろした。 次はマーチ。その次はセプ。その次はジュライ。 その次はジューン。その次はフェブ。その次はジャニアリー。 そうしてメイを運び、後はエイプリルを残すのみとなった。 彼女の寝顔を撫でたり、突いてみたりする。柔らかな頬は、弾力豊かに私の指を跳ね返す。 不意に、不安が生まれた。私はこの娘たちの母親としてどうなのだろうか? いつも思っていたことだ。口には出さずとも、思っていたことだ。 私はマルチアーノ十二姉妹のマダム・マルチアーノ、しかし姉妹の母親としてはどうなのか。 自分の疑問が自分を責めた。たった五日間の休暇を与えることで、誤魔化しているような気がした。 頭を振ってそれを払拭する。私は私だ。もう一度言う、私は私なのだ。 母親としての私も、マダム・マルチアーノとしての私も、私だ。 自分の娘を誇りに思い、愛する、私なのだ。 エイプリルの体を、優しく持ち上げる。 起こさぬように、起こさぬように。私の娘を起こさぬように。 二つ残った布団の内、片方に運ぶ。 毛布を彼女の体に掛けて、自問に戻ろうとした時、唐突に答えは出た。 エイプリルの寝言一つで。 「ん──お、母、様」 つまり、それが答えなのだ。 それが絶対唯一の、間違いのない答えなのだ。 私は彼女の出してくれた答えに満足したので、眠ることにした。 ありがとう、エイプリル、私の娘。 朝が来た。全てから私が解放されることを意味する朝だ。 このセプテンバーにとって、解放とは帰宅出来るということだった。 これでやっと普段以上に駆けずり回ることもなくなるのである。 もう疲れることはない、話に聞いたメイの運転は心配だが、きっと運転手は交代させられている。 「一泊二日は短いわね」 旅館を去る直前、ジャニがやって来て言った。首肯して、言葉も返す。 「ええ」 短くて結構。私が擦り切れるまで三つ子の世話をさせる気かしら。 その三つ子は駄々をこねている。 「「「帰りたくないー!」」」 「あらあら、我侭はいけませんよ」 「オーガスト、帰りますわよ」 「はーい、お姉様」 「マーチ! 原稿を何処にやったんですのーッ!」 「昨日は特に寒かったわ」 皆わいわいと騒ぎながら、バスに乗り込んだ。 ジューンの姿が見えないので、ジューンが運転するんだろうか。 私は最前列に行って、確かめることにした。 バスのエンジンが掛かる。私は足を速める。 と、その必要は無くなった。運転手はこっちを向いて言ったのである。 「じゃ、皆乗ったねー?」 「「「「「「「「「「「──ッ!」」」」」」」」」」」 誰かがメイを運転席から引き離す前に、彼女はアクセルを思いっきり踏みつけた。
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/2452.html
2022年4月9日 出題者:イースト タイトル:「エイプリル〇―ル」 【問題】 遅れて花見に参加した男は、すぐに色の違いに気づき 珍しい色の桜があると、皆に教えた。 しかし皆が信じてくれなかったので 男は、あるのに無いような気持になった。 一体、どんな状況か? 【解説】 + ... 4月1日の昼過ぎ 遅れて花見に参加した男は、靴を脱ぐと すぐに靴下の色とは違う肌色に気づいた。 男:(やばっ、靴下に穴があいてる…) 男:(よし、まだみんな気づいてないな) 男:(上に注目させて、その間に隠そう) 男:「あっ!珍しい色の桜だ!」 しかし、今日はエイプリルフール。 みんなは嘘に敏感なため、誰も信じてくれなかった。 結局、靴下の穴は気づかれ 穴があるのに穴があったら入りたい気持ちになった。 タイトル:「エイプリル○ール」 エイプリルフールに穴が空いていてる。 また、穴にホを埋めるとエイプリル[ホ]ール(4月の穴) 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/5099.html
BEFORE DMWJ-01 「エイプリル編I ライアー・ビクトリー」 NEXT DMWJ-01 「エイプリル編I ライアー・ビクトリー」 何もかもが謎と嘘に包まれたエキスパンション。 4月1日登場。全19種類。 4月1日登場だが、それは嘘かもしれない。 全19種類と書かれているが、よく見たら根も葉もない嘘だった。 DMW-21 「アルケミア編IV パンデミック・スター」の続編との情報もあるが、まったくの嘘に相違ない。 全カードが「ORICAゴールデンリスト」に載っているようだが、そもそもリストの存在が嘘である。 こんなものはおそらく、ここのトップにもあるように、最初で最後なのだろう。 収録カード ビクトリー1種類 《偽銃姫! ザビ・エイプリル》/《四月一日エイプリル・フールドラゴン》 スーパーレア2種類 《嘘のように強い神竜》 《真実すらも亡き者にせよ》 コモン15種類 《嘘かと思うほど固い伝道師》 《偽勇躍! ガガ・ディアナ》/《四月一日エイプリル・フールドラゴン》 《横になれ》 《嘘のごとく暴れるクロウラー》 《蒼神龍セブ・フール》 《手札に帰れ》 《嘘みたいに怖いワーム》 《敵を抹殺せよ》 《山札の一番下に沈め》 《偽魔陣! ギル・オーフレイム》/《四月一日エイプリル・フールドラゴン》 《何体かまとめて焼却せよ》 《緑神龍ジオ・フール》 《嘘であれと願う化身》 《マナゾーンに埋まれ》 《超次元うそっぱち・ホール》 関連 エキスパンションリスト
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/40.html
彼女の休日 セプの場合 夢。夢を見ている。 自分で誰かと笑いあっている。 空は白い雲と青い空以外に何も無く、周りには草原が広がり人の姿は全く見えない。 一緒にいるのは男性のようだ。顔はぼんやりとしていてよく見えないが、何故か自分は彼に思慕の念を抱いていて、 今がとても幸せに満ち足りているのが実感できる。 彼が自分の肩をとって引き寄せた。左手が自分の手と繋がれ、右手で頬に手を添え、甘い言葉を投げかける。 それら全てが全身を熱くする。吸い寄せられるように彼を見つめ、形のよい唇を彼に差し出す。 ゆっくりと視界が暗くなっていき、唇に甘い感触が触れようとした瞬間――― パチリと目が覚まされ、セプは現実に連れ戻された。 彼女はベッドの中で小さくため息をついた。せっかくいい所だったのに、絶頂に達する直前に起きてしまうとは。 そこでふと違和感を感じた。何かの気配がするといってもいい、背後に何かいる。 まさかねと思いつつ、反対側へ寝返りをすると、 「すぅ……すぅ……」 毛布で簀巻きにされた「」が目の前にいた。 しかも、あと5センチ前に出ればキスできてしまうほどの近さで。 「……うう、むにゃぁ、あ?」 自分に気がついて「」が起きてしまった。寝ぼけているのかセプの顔をじっと見つめる。 彼の瞳に驚愕した自分の顔が映る。 「ひ、ひ、ひぇ、ひえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 午前7時15分、マルチアーノ家にセプの絶叫が響き渡った。 マルチアーノ家の食堂ではマルチアーノと姉妹達、そして「」が朝食を食べていた。 セプは起きた時からずっと顔を真っ赤にして、「」は顔に赤い手の痕が残っている。 「いや~、まさかあんな大声出すとは思わなかったよ」 「ここまでいいリアクションは予想外」 今朝のベッドの悪戯の首謀者は、メイとマーチだった。 昨晩、「」を毛布で寝ている間に簀巻きにして、起きた時にびっくりさせようというのが本来の目的だった。 しかし、マーチがセプは就寝時には手元にあるものを抱きしめてしまう癖を思い出したのが事の元凶である。 潜入作戦よろしく「」をセプの部屋へと搬送し、ベッドの中へ潜り込ませたのだった。 二人はそれだけに飽き足らず、あろうことかセプが簀巻きの「」を抱きしめている現場をデジカメで撮影し、 戦利品と称して現像したのだった。 そして朝を迎え、セプは強烈な目覚めに絶叫を轟かし、羞恥心のあまり「」に鉄槌のようなびんたを食らわせた。 騒ぎによって次々と起きだした姉妹達にメイとマーチは早速戦利品を見せ、セプと「」のありもしない話を聞かせた。 それを見たエイプリルとジャニアリーは激しく憤怒し、オーガストや年末組はセプを羨ましがった。 マルチアーノとニルソンに関しては『二人とも若いっていいわね。でもホドホドにしておきない』、『仲人は私でいいかね?』と コメントを残す始末であった。 こうして、二人のドッキリ大作戦は成功したのである。 当のセプはというと、朝食を食べているときでさえ恥ずかしさのあまり何も考えられなくなってしまっていた。 悪戯とはいえ、同じベッドで男性と一晩を過ごした上に、抱きついてしまったのだ。 否定しようにも二人の戦利品がはっきりとした物的証拠として残っているので、否定しようが無い。 12姉妹の中でも一番の貞操観念を持っていると密かに自負している身としては、非常にゆゆしい事態であった。 向かいの席には「」が座らせられ、嫌でも目が合ってしまう。 そのせいで夢の内容で見た男性が「」に被ってしまい恥ずかしさ倍増である。 「うう、言えない。こんなことは誰にも言えない―――」 「セプ? 聞いてるのセプ?」 「ひゃいぃ! 何でしょうかお母様!」 「今日は皆いろいろと用事があって家にいないのよ。二人で留守番してるのもあれですから、「」と町外れの自然公園に いってみたらどうかしら? 今日は天気もいいし、ピクニックみたいできっと楽しいはずだわ」 「ええ!? そんないきなり言われても」 「あら、二人の仲なんだし構わないでしょう。私は二人の仲には賛成よ」 「誤解です! 誤解なんですってばお母様ぁぁ!」 セプの弁解も空しく、本日の予定は「」との楽しいピクニックに決まってしまった。 町外れにある広大な自然公園は、木々が生い茂りぽつぽつと色づき始めていた。 あたりに人影は無く、小鳥があちこちでさえずっている。 そんな中で「」とセプは林道を並んで歩いていた。セプの両手には昼食が入ったバスケットが握られている。 「ここがこんなにいい場所なんて知らなかった」 「そうね、景色は綺麗だし空気も美味しい。これはお母様に感謝しないといけないかも」 二人は自然公園の自然環境に感嘆しつつ、談笑を交えて進んでいるとしばらくして、周りが開けた草原に出た。 中央は小高い丘になっており、心地よい風が吹き抜けている。 「「」さん。お腹も減ってきたことだし、お昼ご飯はあそこで食べない?」 「そうだね。そうしようか」 丘の頂上で「」がシートを広げ、セプのその上にバスケットの中身を広げる。 二人は昼食を前に並んで座り込んだ。そこはとても見晴らしがよく遠くの山々が見渡せる。 今日の昼食のメニューは、サンドイッチだった。中身は様々でバリエーションも量も多い。 「うわぁ、凄い量だな。これ全部セプが作ったの?」 「うん。こういうのあまり作る機会とか無くて、つい頑張っちゃった」 「じゃあ早速いただきま~す」 「……どう? 美味しい?」 「…………やばい」 「」の感想にセプは表情を曇らせた。 自信作だったのに失敗してしまったのか。自分は不味い物を食わせてしまったのかと不安が襲う。 「……美味すぎるよセプ。最高だ」 「へ?」 「もっと食べていい? こんな美味いの初めてだ」 「ど、どうぞどうぞ」 「いやぁ、こんな美味しいのが作れるなんてセプはいいお嫁さんになれるな」 「あはは、なら「」の……んになりたいな」 「ん? 何か言った?」 「ううん、何でもない」 その後、「」とセプは面白おかしく話をしながら昼食の時間を楽しんだ。 「」が料理の腕を褒めてくれた事にセプは、とても満足していた。冷蔵庫の余り物で作った急ごしらえのサンドイッチとはいえ、 こんなに美味しそうに食べてくれたのは「」が初めてだった。 今度、また彼のために腕を奮って作ってみようかと思った。 しかし、そこでふと今朝のことを思い出した。「」が悪いわけでもないのにびんたをしてしまったのだった。 何かの形で彼に謝罪をしないといけない。 「あの、「」さん。今朝は顔を引っ叩いてごめんなさい。お詫びとして私が何か出来ることはない?」 「うーん、じゃあキスして」 「ええええええええええ!?」 「冗談だよ冗談。じゃあ膝枕をしてもらおうかな」 「は、はい。それくらいなら構わないけど」 「」は座りなおしたセプの太ももに頭を乗せた。セプが「」を見下ろす感じで見ているのだが、まんざらでもなさそうだ。 その眼差しはどこか優しく暖かい。 そして、何気なく「」の頭に手を乗せて優しく撫でた。 「なんか、いいなあセプの膝枕。柔らかくて暖かくて気持ちいい」 「わわ! 頭スリスリしないでぇ! くすぐったいわよ」 「たまらない、これは天国かなぁ………何か、眠くなってきた」 「ちょ、寝ないでよぉ!」 「………すぅ………すぅ………」 「ふふふ、まぁいっか。これはこれでいいものだし」 「………すぅ………すぅ………」 「本当はキスしても、良かったのにな」 二人は日が沈みかけた頃にマルチアーノ家に帰ってきた。 家には既に皆が帰ってきており、夕食前の団欒を思い思いに楽しんでいる真っ最中であった。 「二人ともおかえりなさい」 「ただいま、エイプリルさん」 「セプ、「」さんとは何もやましい事はなかったですわよね?」 「さぁ、どうかなぁ。あはは」 「何ですの? その勝ち誇ったような笑いは」 ふふふと笑みを浮かべ、セプはエイプリルの耳元で小さくつぶやいた。 「エイプリル。いくら貴方でも「」さんは渡さないわよ」 「な、なな何ですってぇぇ!? セプゥゥゥ、ぶっ壊して差し上げましょうかぁぁ!」 エイプリルの大声に反応し姉妹達が集まってくる。皆、意味深な笑みのセプと激昂したエイプリル。慌てふためく「」の姿に 興味津々のようだ。 「これは一体何事?」 「マーチ、あんた何かした?」 「何これ?」 「まるで昼ドラだわ」 「エイプリル、どうしましたの? 騒がしいですわよ」 「あらあら、元気ねぇ。うふふ」 「みんな仲良く……」 「「「みんな仲良く~!」」」 「我が家はいつも賑やかね」 「それで私は何時になったら仲人をすれば良いのかね?」
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/7.html
3月 CV. 新井里美 公式設定 マルチアーノ12姉妹の第2世代アンドロイド 黒髪ツインテールのミニスカ 武器はFNミニミ M249SAW パワー、耐久性に優れており、フェブラリィとは攻守のコンビ。 (コミック1巻 巻末資料より) マーチ→(ボケ)→フェブラリー マーチ←(ツッコミ)←フェブラリー (コミック2巻 巻末相関図より) パワー・耐久性に優れた第2世代。大型重機関銃「ミニミM249AM」を小脇に抱えて、ポシェットから弾帯を引き伸ばして、戦場の中盤で乱射するスタイル。ぼそぼそとした喋り方で色々と皮肉ったツッコミを入れる。フェブラリィとは攻守のコンビ。 (DVD5巻ブックレット 落書きイメージ集part6. キャラクター性格設定より) ※初期設定らしく、本編と異なる可能性がある 口紅あり マシンガンのスタンドを閉じてフォアグリップとして使う。 左腰のポーチ型マガジンから弾帯を供給 (DVD5巻ブックレット 設定資料集より) 二次裏設定 引きこもりゲーマー ジャンクフードが好物 ショタコン
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/48.html
じわりじわりと2人の男が蛇のように、屋上を縁へ向かって這っていた。 長年使われて古くなったスナイパーライフルを握り締め、頭を上げないように慎重に匍匐前進を続ける。 相棒の観測手の荒い呼吸が、戦いで研ぎ澄まされた聴覚を刺激する。 ようやく目的地にたどり着き、非常にゆっくりとした動作でスナイパーライフルを構えて、スコープを覗き込んだ。 円形に切り取られて拡大されて映る視界には、あの建物が建っていた。 窓という窓が全て割られ、壁面には無数の弾痕が残されている。 「いたぞ。2階の1番左の窓の奥だ」 隣で双眼鏡を構えている観測手が小さく呟いた。 体ごと向きを変え、言われた通りに2階の1番左の窓を注意深く照準した。 中は薄暗くてよく見えないが、ぼんやりと白いヘッドドレスのような布切れが確認できる。 見間違いかと思ったが、一瞬微かに上下に動いたの見て確信した。 噂で聞いた奴に違いない。人間離れした射撃の腕を持ち、この数時間だけで何人もの仲間が撃ち殺された。 向こうはこちらの存在に気がついていない。殺るなら今のうちだ。 口の端が吊り上り、興奮でトリガーに掛けた指が震えた。 はやる気持ちを抑え、人差し指に力を加える。 ゆっくりトリガーが引き絞られ、銃口から熱い鋼鉄の塊が吐き出される寸前、銃声が響いて男の頭がはじけて絶命した。 予想だにしなかった観測手は、目の前のありえぬ光景に激しく動揺し、再び双眼鏡であの怪しい窓を見た。 既にヘッドレスの影は無く、彼はせわしなく視線を走らせると、それは2階中央部からM14をこちらに構えていたのが見えた。 背筋に張り詰めた寒気が走り、神に祈った。 彼が最後に見たのは銃口からほとばしる発射炎だった。 チンと音を立てて2つの空薬莢がリノリウムの床に落ち、セプは小さく息を吐いた。 これで窓から狙撃したのは20人目だ。今度の相手は観測手が射手だったら少し危なかったかもしれない。 奥の方へ隠れてから、左手に持ったワイヤーを引き寄せて、囮にしていたヘッドドレスを取り戻した。 端には小指くらいの太さの焦げた穴が2つ開いており、本来とは違う役割を立派に果たしていた。 ニルソンにこのことを話したら、呆れた顔になるだろうなと想像して苦笑した。 『セプ? 今の相手はどれくらいの距離でしたの?』 「260mってところよ」 銃声を聞いたジャニアリーが通信して来るたびに、敵との距離を聞いてくる。 距離は縮まってきたが前よりは銃撃の頻度が下がってきた気がする。事態が膠着しかけてきた証拠だ。 時刻を確認するとこの建物に居座ってから、随分と立っていた。 今頃、離れた場所にいる皆はどうしてしているだろう。 あんな激しい銃撃を受けながら街を車両で走り回ったので、大きな損傷を受けていないだろうだろうかと心配するが、彼女達ならきっと無事なはずだ。 態勢を整えて再びやって来てくれることを信じ、セプは懐からマガジンを取り出して再装填した。 彼女達が建物に立て篭もり、救援を待ち望む状況に至るまでの事の発端は数時間前に遡る。 高度1万mの上空を飛んでいるとき、エイプリルはコックピットの座席でアヴェ・マリアを唱えた。 後ろのキャビンにはジャニアリー、ジューン、ジュライ、セプが既にパラシュート等の降下用装備を見に付けて、リラックスした様子で沈黙を保っている。 目印となるものが何も無い荒野を飛んで行くと、地平線から月明かりに照らされた街がぼんやりと見えてきた。 荒野のど真ん中に存在する20㎞四方に広がる街は、建造物が全体的に高くても4階くらいと平均して低く、窓から漏れる光は寂しいほどに少ない。 エイプリルはもう一度、今回の作戦内容を確認した。 今回の作戦目標は、とある機密情報の納まったブラックボックスの奪取だ。 ジャニアリー、エイプリル、ジューン、ジュライ、セプが目標上空にて降下し、目標建物を強襲して制圧。 地下3階にある金庫を爆破して潜入し、ブラックボックスを奪取。 その後に街から少し離れた場所に待機した、残りの姉妹達とギルド兵の搭乗する車両部隊が、抵抗勢力と交戦しつつ目標建物の前に車両を横付けする。 エイプリル達の強襲チームはそれに乗り込み、航空機が待つ合流ポイントまで撤収する。 それらを上空のヘリに搭乗したフェブが常時監視して、抵抗勢力の把握と車両部隊の移動経路などを必要に応じて伝達すると言う流れだ。 懸念材料は街に潜む抵抗勢力の正確な情報が無いことだが、これまでに掴んだ情報から推測するに問題は無いレベルだろう。 事が上手く進めば朝日が昇る前に撤収し、機内で温かい紅茶を啜りながら夜明けの光を拝むことができるはずだ。 「降下ポイントまであと3分!」 パイロットがあと少しで降下することを声高々に告げた。 副パイロットは手元のコンソールを操作して降下の準備を始め、エイプリルは与圧のされていないキャビンへと移動した。 すでに皆は降下の準備を終え、緊張した面持ちで時が来るのを待っていた。 「ジャニアリー、そんなに緊張するなんて珍しいですわね」 「何を言うのかと思えば、緊張しているのは貴方ではなくて?」 「もぉ、2人ともこんな時くらい仲良くしようよ」 「……降りたら間違えて撃たないで」 「さて、参りましょうか」 壁に設置されたランプが赤から緑へと切り替わり、低い作動音を立ててハッチがゆっくりと開いていった。 開け放たれたハッチからは星空と漆黒の大地が広がり、冷たい大気がキャビン内で暴れまわる。 『あと1分! ハッチへ移動してください』 暴風の音に負けじとスピーカーからパイロットの声がキャビンに響き、一同はハッチへと足を進める。 ジャニアリーは冷えた空気を吸って、興奮で熱くなった思考を押さえ込んだ。 横に立っているエイプリルを見ると無表情で眼下に広がる地表をじっと眺めている。 『降下開始カウントダウン始めます! 10……9……8……7……」 セプは肩に担いだM14に期待を込めて優しく撫でた。 『6……5……4』 ジューンとジュライはそれぞれの武器の柄を強く握りしめる。 『3……2……1……0! ご武運を!』 一同は軽くステップを踏むようにハッチから足を離し、虚空へとその身を投げ出した。 数秒間の浮遊感の後、重力の世界に引き戻されると、降下姿勢をとって落下によって発生した風に乗る。 聴覚は全てノイズのような風の音に遮られるため、手信号で無言のまま付かず離れずの距離を保ちつつ円形のフォーメーションをとる。 高度が下がるにつれて街の建物がしっかりと見えてきた。 今回の目標の建物は中央部に位置し、口の字状の形をしているので発見は容易だった。体を傾けて目標直上へと体を滑らせる。 パラシュート展開のために距離をとりつつ、現在の高度を確認した。高度1200m…1100m…1000m……。 800mまで降下したところで、火薬によって射出されたパラシュートが一瞬にして展開し、落下速度が一気に減少した。 両脇のフックでパラシュートを操作し、大きく旋回しながら徐々に高度を落とすと、 突然けたたましいサイレンの音と同時に、地上から天空へ向かって太い一筋の光が何本も現れた。 下を見ると屋上に通じるドアから、アサルトライフルで武装して兵士達が次々と出てきている。 サーチライトで私達を照射して、狙い撃ちするつもりなんだろうとエイプリルが考える時には、枝がはじける音を立てて弾丸がすぐそばをかすめて行った。 「セプはサーチライトの封殺を! 私とジャニアリーで下の連中を片付けますわ!」 指示を受けるまでもなく、2人はすばやく銃のボルトを引いて初弾を装填した。 セプは右手でM14を構え、左手でパラシュートを旋回させるいう器用な方法で、慎重に一発ずつ発砲してサーライトを破壊する。 ジャニアリーは両手に持ったP90を別々の方向へ向けて、同時に複数の兵士達に弾丸の雨を降らせる。 エイプリルも強装弾を装填したルガーP08をサブマシンガンに匹敵する連射で、一人一人確実に射殺していった。 あらかた制圧し終り、十分な安全なところまで降下したところでパラシュートの装備を空中で脱ぎ捨て、屋上に着地した。 風に乗って砂埃が舞い上がり、硝煙と何かの焼ける匂いが鼻をつく。 先頭はジューンとジュライ、後方はセプという隊列を作って、ドアから中へ手榴弾を投げてから一気に突入した。 階段を駆け下りて突き当たりの廊下に出ると、物陰から一斉に兵士達がアサルトライフルを連射してきた。 ジャニアリーとエイプリルが応射しつつ、コンバットナイフと刀を持ったジューンとジュライが兵士達へと跳躍し、恐るべき速さでアサルトライフルごと兵士達を両断する。 「ひ、ひぃぃ!」 あまりの戦闘能力の差に恐れをなして、逃げ出す兵士の背にジューンは容赦なくナイフを投げつけると、胴と頭に1本ずつ深々とナイフが刺さり、兵士は苦悶の声を上げて力なく倒れた。 『エイプリル、地下に通ずるエレベーターの場所は分かってる?』 上空のヘリから銃激戦が収まったことを察したフェブが確認するように通信を入れてきた。 「もちろんですわフェブ。それよりも手持ちの指向性爆薬だけで金庫のドアを破砕できますの?」 『性能は折り紙つきだから安心して。そのフロアにはもう生体反応は無いようだけど気をつけてください』 一同は鎮まりかえった廊下を歩いて、エレベーターに乗り地下3階へと降りていった。 思っていたよりも下に潜って到着した地下のフロアは、地上の風景とは打って変わって、壁と床から天井まで歪み一つ無い鉄板のようなもので構成され宇宙船の通路を髣髴とさせる。 床には複数のラインが描かれており、ラインの色によって行き先が分かるようになっているようだ。 迷路のように入り組んだ通路をフェブの指示に従って進むと、一同は曇り一つ無いほどに磨かれた金庫のドアに到達した。 「さぁ、さっさと爆薬を仕掛けますわよ」 「一々言われなくてもやりますわ」 「ジャニアリー、一言多いですわよ」 「何ですってぇ!?」 「……喧嘩は駄目だって」 「ジュライー、二人はほっといて一緒にやろうよ」 「そのほうがよさそうね」 エイプリルとジャニアリーがいがみ合うのをジューンが宥める横で、セプとジュライが爆薬と周辺機器の入ったバッグを広げた。 セプが粘土のように柔らかな爆薬を誘爆線でつなぎ合わせながら、ドアの縁に貼り付けて信管を突き刺す。 ジュライが起爆装置の電源を入れて、コードを信管に接続して爆破の準備は終了した。 「ほら2人ともいつまでも喧嘩してないで、早く物陰に隠れてよ」 いまだに睨み合うジャニアリーとエイプリルの背中を押し、全員の安全を確認してからセプは起爆スイッチを押した。 スイッチから伝わった電気信号は起爆装置を通じて伝達し、信管が爆薬に電流を放出したことで連鎖的に爆発を起こした。 内側へ向けられた爆発の衝撃と灼熱は、一瞬にして分厚いドアの接続部を焼き切る。 ジューンが激しい爆音の後にゆっくりと覗いてみると、見事にドアはこちら側に倒れており金庫への入り口がぽっかりと開いていた。 「気分は強盗団?」 「いいえ、むしろル○ン3世ね」 「古っ!」 「どうでもいいから、早くブラックボックスを手に入れますわよ!」 金庫内は所狭しと設けられた棚に様々な物品が置かれ、最奥部に置かれた机に一際明るい照明を浴びてブラックボックスが鎮座していた。 250mlのボトル程の大きさの四角柱の形状をしており、黒い本体の上部に白い字で識別コードが表示されている。 ジャニアリーが識別コードを読み取り、フェブに送った。 「フェブ、これと目標の識別コードを照合してくれませんこと?」 『ちょっと待ってて下さい。………………照合完了、それに間違いないわ。撤収しましょう」 「ふぅ、思っていたより容易かったですわね」 「そうね。逆に怪しいくらい」 ブラックボックスを傷つけないよう専用ケースに仕舞い込んで、一同は金庫を後にして、意気揚々とした顔でエレベーターに乗り込み地上へと戻っていく。 その裏で、金庫の机の裏に設置された機械から信号を発する赤いランプが点滅し始めたことを、彼女たちは知る由も無い。 同時刻、街のとある場所でモニターを監視していた男が受話器を手に取ってコールすると、すぐに相手が出た。 「私です。例のブラックボックスが奪取されました」 『そうか、ならば奴らとその仲間も生きて返すな。状況G-2とみなし作戦を開始する。総員に戦闘配置と伝えろ』 「了解しました」 沈黙を保っていた街が少しずつ、荒れ狂う狂気を目覚めさせていった。